メルヘル

その時々のこと。創作とかするかも

14日目(追想)

朝部屋から出ると隣の部屋のお姉さんが一緒に出てきて、一緒に卒検に行くことになった。

 

「前と同じで私らが最後だと思うよ!頑張ろうね。」と背中を叩いて言ってくれた。今思うとM-1準決勝のランジャタイかよ!となった。にゃーちゃんのネタ好きだな。

 

お姉さん、やっぱり最後は嫌らしい。プレッシャーがあるよねって。でも私への嫌味ではないみたいだとこれでやっと分かった。

 

待合で、話の流れからお姉さんがご飯をいっぱい食べれる人だというのが微笑ましいな…と思っていたら審査の人が説明に来た。

4、50代ぽい、圧のないマイペースそうな人だった。

 

卒検が始まるとお姉さんが先に運転してその次に私が運転した。交代するときに「頑張ってね」とまた言ってくれた。お姉さんが運転始めるときに私は何も言えなかったのに悪いなあ…と思った。その次に交代するときはちゃんと言葉で言えた。

 

審査の人は最終的に自分の教習所の自慢をし始めた。ちょっと他の教習所と同じにされては困りますって感じで。他のとこがどんなか分かんないから、有り難みは出ない。

こういう人かぁ。この程度なら好きにはなれないけど嫌いにもなれないな。

 

卒検で合格が告げられたあと、お姉さんが「洋菓子屋さんでお土産買って帰ろうかな」と言っていたので私も一緒に行った。

 

 

洋菓子屋の入り口に小さい子がいたので「こんにちは」と言うと「わぁ!」と言ってくれた。私も「わぁ!」と言ったらキャッキャッとどっかに走り出した。優しいな。

母と妹が好きな苺の乗ったプリンと、私と祖母用にコーヒープリンを買った。

 

そして外のキッチンカーで使える割引券をもらったので、お姉さんとタコスを買った。

 

お姉さん、タコスを食べたことがなかったらしいので私から「美味しいですよ」と言ったら店のお兄さんも「美味しいよ!」と言った。

タコスを買ったらシールをくれた。3種あったので、お姉さんが1人のお兄さんに「どれがおすすめですか?」と聞いていた。私、何も聞かずにコレって言っちゃってなんか子供みたいだな…。

 

でもオススメはどれですか?って孤島のコーヒー屋で聞いた時の、なんだお前?みたいな感じで対応されたのが今でも心にきている。

その島で数人の人間とギクシャクしたのでもう行かない。もう行けない、のが正しい。

 

 

髪の毛がもじゃもじゃのお兄さんは恐竜のシールが好きらしい。私は骨の手がタコスを持ってるシールした。

 

あとからインスタの投稿を覗くとお兄さんは映画が好きらしく、このシールの絵は映画のオマージュらしい。オマージュってこれで合ってる?

 

3人組のタコス屋のお兄さんたち、漫画のキャラクターみたいだったな。

 

帰り道、「最初話せなかったけど今こうやって仲良くなれてよかった」と言ってくれた。物静かな私とアウェイ感があって話せなかったそう。「私も物静かなで変な人と思われてたら嫌だなと思いながら話せなかったんです。人から声かけられないと喋れないんで…」と言うと「人見知り?」と言われた。人見知りって一言で言えない自分が嫌すぎる。

まあ結局、お互い様じゃないか。

 

もう教習所には行かないと思う。

泣いてしまった教官に会いたくないし、凄く仲良くなれた人はいないし。

 

こうやってどこに行っても生きづらさを感じるのに、また時たま旅をしたいと思う私は馬鹿なんじゃないか。旅先で人と関わるのは面白いと分かっているけどそれより辛いことの方が覚えてしまうし。

 

生きるのが年々下手になっていくのか、もしかしたら生まれた時から下手だったのか、よく分からなかった。最近、多分後者なんだと分かってきて、だからってどうすればいいと頭を抱えてる。暗いのと明るいのどっちが本当か分からない。